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「盗賊の討伐に来たって言うなら、私の首をあげる。それを頭領の首って事にして。そのかわり、彼等は見逃して欲しい。彼等は、全員戦争孤児なの。他にも、まだ働けない小さな孤児達すら、彼等は保護してるの。この国すら見捨てた子供達を……過分な要求なのは重々解ってるけど、貴方、そこそこ偉い人なんでしょう? お願いします、彼等に機会を与えて下さい。真っ当に働けるようにしてあげて下さい」
女はレオルに深々と頭を下げる。
「ランコ。駄目だ! お前が首を差し出したって、あいつらが約束を守るなんて保証はねえんだぞ」
「私は、助けてくれた皆に恩返ししたい」
「だからって……」
「解った」
二人のやり取りを遮り、レオルは言う。
「真っ当な職に就きたい奴は全員俺が世話してやるし、子供のことも、それなりの所で保護して学校にも通えるよう手配する。信じられないなら、今ここで念書だって書く。それでどうだ」
「私の首一つで寛大な処置、感謝します」
頭を下げたまま、女は心底嬉しそうに謝辞を述べた。
顔には笑みが浮かんでいるはずだ。
「頭を上げろ」
女の、和らいだ顔が見たくなった。
レオルの言葉に従った女の面には、正しく笑みが浮かんでいた。
それは、安堵にも、諦めにも、慈悲にも見えた。
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