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―北海道は静内。
山本兼続、勘助親子はここで家族経営の小さな牧場を経営している。
現在のところ、敷地面積は広いが馬が少ない、いわゆる過疎牧場、貧乏牧場である。
かつては道営を中心に地方重賞馬を出すなど、
そこそこの規模と実績を誇る中堅牧場だったが、バブル崩壊で思ったように幼駒が売れず経営状態が悪化、
15いた肌馬は現在二頭、従業員も親父と俺を含めた四人だけとなった、小さな小さなもの。
勘助の母は、彼が生まれて3年ほど他界し、
そのあと兼続が男手一つで彼を育て上げた。
不景気から来る経済状況の悪化で、家計が苦しかったにも関わらず、兼続は彼を中学受験させ、いずれは牧場の跡取りへと、
経済学の高校へと遣った。
しかし、頭の勘助には牧場で働く気など微塵もなく、
彼は、高校を出たら一人暮らしをするつもりでいたのだった。
馬と暮らすのはもうごめんだ、早く解放されたい。
それが彼のの唯一の願いでもあった。
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