strawberry kiss

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「かず、早くおいでー」 箱から抜け出し、少し先から手招きするじんは 至って普通だ。 ほら…。やっぱり、俺のがヤバイ。 そんな俺の心情など知らず、期待に瞳を輝かせ て。 とある部屋を、指すから。 「ここ?じゃあ、開けるよ…っ」 それに合わせて、少しテンション高めに勢いよく 扉を開いた。 眼前に飛び込んできたのは。 最上階という事もあり、多少は予想していたもの の。 「……すげっ。なに、この部屋。超高そー」 それを上回る程の面積と、豪奢な調度品の数々 だった。 ほんと、こいつの金銭感覚は毎年、麻痺していっ てる気がするね。 そんなんで家庭持って、大丈夫…?と、余計な心配 をしてしまうくらいに。 「おー。めっちゃ綺麗じゃねぇ?」 当の本人は、呑気に部屋の中を物色してるけど。 「じぃん?俺なんかの為に、こんな贅沢すんな よ」 一応、釘は刺しとかないと。 つーか。お前が居れば、俺は何処だっていいんだ よ? 「ばーか。今日、何日だと思ってんの?」 そうしたら、少し怒ったように俺の頭を軽く叩い て。 こうするのが、当たり前だ…と言わんばかりに。 「今日はさ、俺の一番大事な人の誕生日なんだ よ」 にっこりと笑って、誇らしげに、そう言い張る。 ズルい、ほんとズルい。 そんな風に言われたら、俺が嬉しいの分かってて 言うんだから。 でも、きっと計算ではなく、素で言ってるのだろ うけど。 .
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