世界平和 ◇*

1/1
前へ
/22ページ
次へ

世界平和 ◇*

「私は世界平和にはまず、この世にある全ての兵器を無くす必要があると思うの。」 と河合は言った。 「そうよね。でもあたしは兵器だけでは足りないと思うわ。一般人でも使えるような刃物も危険。無くすべきよ。」 付け足すように斎藤が言った。 「そこまでする必要あるかしら?」 河合は言う。 「あるよ。“完璧な世界平和”を目指すためにはね。だから僕は全ての“物”を無くすべきだと思うよ。」 と武田が言う。 「それだけでは足りないのではないでしょうか?なぜなら人は絞殺も撲殺も出来ます。手足を拘束してはいかがでしょう?それが最も“平和”的だとわたくしは思うのですが。」 と管野が真面目な顔つきでに言う。 「随分慣れた口調だね。ま、僕も賛成だよ。でも口も塞がなくちゃ。口喧嘩になったら大変だよ。心の傷はすぐに治るもんじゃないからね。」 最年少の泉がおどけたように言う。 「へっ。俺はまだ足りねぇと思うぜ。それなら目も潰さなきゃなぁ?目は口ほどにナンチャラってな。」 佐々木がバカにしたように言う。 「いや、僕は“完璧な世界平和”にはまず人間は必要ないと思います。」 藤本がボソッと呟く。 白い服を着た彼らは静まり返り、藤本が「あはは」と気持ち悪く笑う。 「ありがとうございました。藤本さん、貴方はレベル5と確定しました。他の皆さんは部屋へお戻りください。」 白い部屋の隅でじっと彼らの話を聞いていたスーツ姿の女性が告げた。 藤本だけを残し彼らはいつも通り白い部屋へと帰っていった。 女性は藤本の手足を拘束する。 「何してるんですか?」 「世界平和のためですから」 そう言って女性は部屋を出た。 どこからか機械音が聞こえる。 ウィーン ウィーン ウィーン あはは グシャ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加