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世界平和 ◇*
「私は世界平和にはまず、この世にある全ての兵器を無くす必要があると思うの。」
と河合は言った。
「そうよね。でもあたしは兵器だけでは足りないと思うわ。一般人でも使えるような刃物も危険。無くすべきよ。」
付け足すように斎藤が言った。
「そこまでする必要あるかしら?」
河合は言う。
「あるよ。“完璧な世界平和”を目指すためにはね。だから僕は全ての“物”を無くすべきだと思うよ。」
と武田が言う。
「それだけでは足りないのではないでしょうか?なぜなら人は絞殺も撲殺も出来ます。手足を拘束してはいかがでしょう?それが最も“平和”的だとわたくしは思うのですが。」
と管野が真面目な顔つきでに言う。
「随分慣れた口調だね。ま、僕も賛成だよ。でも口も塞がなくちゃ。口喧嘩になったら大変だよ。心の傷はすぐに治るもんじゃないからね。」
最年少の泉がおどけたように言う。
「へっ。俺はまだ足りねぇと思うぜ。それなら目も潰さなきゃなぁ?目は口ほどにナンチャラってな。」
佐々木がバカにしたように言う。
「いや、僕は“完璧な世界平和”にはまず人間は必要ないと思います。」
藤本がボソッと呟く。
白い服を着た彼らは静まり返り、藤本が「あはは」と気持ち悪く笑う。
「ありがとうございました。藤本さん、貴方はレベル5と確定しました。他の皆さんは部屋へお戻りください。」
白い部屋の隅でじっと彼らの話を聞いていたスーツ姿の女性が告げた。
藤本だけを残し彼らはいつも通り白い部屋へと帰っていった。
女性は藤本の手足を拘束する。
「何してるんですか?」
「世界平和のためですから」
そう言って女性は部屋を出た。
どこからか機械音が聞こえる。
ウィーン
ウィーン
ウィーン
あはは
グシャ。
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