如月陽司

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 その日、俺を起こしたのは“ウルトラマンのテーマ曲”だった。 「……んだよ。朝っぱらから……」  ひとつ大欠伸をかまし、携帯に手を伸ばす。  寝ぼけ眼に飛び込んできたのは、昨夜一緒に飲んでた同僚の名前だ。  最近やたら彼女と上手くいってるらしく、のろけ話しかしやしない。 「はい……如月……」  テンション低めなのは勘弁して欲しい。只でさえ低気圧、じゃない低血圧で朝は弱いからね。 「おい! 陽司、頼みがある。今日一日家出んなよ!  コンビニもアウトだからな」 「お、おい……幸一……」  俺の返答も聞かず、要件だけ伝えて、電話は切れた……。  ……そういえば、今日はデートだって言ってた気もする。  プロポーズするとかしないとか……。  なるほど、だから俺に外出するな、と。  理解はできたが、いまいち釈然としないな。  まあ貸しを作るつもりで言うこと聞いておくか……。  こういうことにも慣れすぎたしな。
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