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彼女の名は川浪奏江(かわなみかなえ)。長い黒髪が印象的なうちの会社の受付だ。
目立った美人てわけじゃないけど、10人に8人は笑顔が可愛いって言ってくれるらしい。
…………なんか、誰も聞いてない気がするが……、続けるぞ。
あれは丁度1年前のことだ……。
梅雨だってのに、ちょっと馬鹿なチャレンジ精神出して、俺は傘を持たずに買い物に出掛けた。
そして当然のように豪雨に遭遇した……。
ちなみに俺が傘ナシで雨に遭うと、雨量は3割増しになるから覚えておいた方がいいだろう。
で、交差点で俺と同じように全身ずぶ濡れの彼女を見つけた。
特に会社で親しくしてたわけじゃないけど、雨宿りするでもなく立ち尽くす彼女を放ってはおけなかった。
急に有給使って休んでたのは聞いてたから、気になったのかもしれない。
まあ、一番の理由は罪悪感だ。
俺の馬鹿げたチャレンジのとばっちりで3割増しの豪雨に晒されたわけだからな。
まったく迷惑極まりない。
声をかけ、ずぶ濡れの上着を申し訳程度に頭にかけても、ほとんど反応はなかった。
あまりにずぶ濡れ過ぎて、入るべき店も思い当たらず、俺のアパートに連れていったんだ。
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