如月陽司

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 ……ああ~~言いたいことは分かる。  確かに下心がゼロだったと言うと、正直嘘になる。  けどな、実際のとこはそれどころじゃなかった。  ちょっと落ち着いてから、彼女が教えてくれた。あんなとこでずぶ濡れだった訳を……。  ……大好きだった母親が、事故で亡くなった。  急だったのもあって、会社への説明もそこそこに帰省し、哀しむ暇もないまま用事に追われた。  一段落して、東京に戻ってはきたが、独りになると、いろんな感情とか記憶とかが溢れ出して、訳が分からなくなり、外に飛び出した……。  そこで豪雨に遭い、茫然としていたらしい。  そんな話を聞いても、気の利いた言葉が浮かぶ俺じゃないし、そもそもそんな台詞が似合う顔じゃない……。
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