如月陽司

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 ──デート当日──  今日も朝から雨だった。  なんかの歌のフレーズみたいだが、そんな雰囲気があるわけじゃない。  傘なんて荷物が1個多い時点で、若干ブルーにもなる。  誰もが知ってる気持ちだけど、俺たちの場合それが日常だ。  よく嫌にならずに俺と1年も付き合ってると、奏江に感心する。  雨の疫病神みたいな俺と何で付き合ってくれてるのか、気にはなるが直接聞く勇気は皆無だ。  今日のメインは奏江の手料理だから、朝食は軽めにした。  半ば時間潰し目的で映画館に入る。  普段はまず見ることのない恋愛映画をチョイスしてみる。  ん? デートでなら無難だろうって?  確かにね。ただ、その手の映画にはきれいな風景をバックにしてふたりの心のふれあいを描いたようなシーンがあるだろ?  夕焼けだったり、雲ひとつない青空だったり……。  そういう場面に遭える可能性が1%でもあるなら、ある意味憧れとともに見てもいいだろう。  でも俺たちの場合、完全に可能性ゼロだ。  今日のもそうだった……。  朝日に照らされ、晴れやかな顔した男が「俺がバカだった。俺にはお前が必要なんだ。朝日が教えてくれたよ」とか言っていた。
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