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日記には鳥原の日常が書かれていた。
授業のことや、吹奏楽部のことや、いつだったか、僕が鳥原に肘打ちを食らわせたことまで。
まるで鳥原じゃないみたいな語り口調で。
いつも無表情で何を考えてるのか分からない鳥原が、こんなに色々思っていたことは意外だった。
僕は、日記に「遠藤マン」の名前が結構頻繁に出てくるのが気になっていた。
長太郎に悪態づいている内容だけど、見てるとこはしっかり見ている気がする。
ひょっとして鳥原、長太郎のこと、好きなんじゃないか? 自覚がないだけで。
「正義の味方」。
鳥原は長太郎のことをそう書いていた。
「正義のヒーロー」じゃなくて、「正義の味方」。
うん。
その響きの方が長太郎にはしっくりくる気がした。
1年の時、長太郎が先輩に目をつけられたことは知っている。
ボロボロになったダンボールのコスプレを抱えて寮に帰ってきて、
「正義は不死鳥の如く甦る!」
なんて言って次のコスプレデザインを考え始めたりして、先輩の呼び出しもたいしたことなかったのかな、懲りないヤツだな、なんて思っていたけど。
鳥原の日記に叱られたような気がした。
何を見てたの、あんたの目は節穴なの、って。
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