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寮に戻ってベッドに横になったけど、さっきのノートのせいで、僕の体は「熱なんか出してる場合じゃない」と判断したらしく、だるかった体はすっかり元通りになって頭が冴えてなかなか寝付けなかった。
ようやくウトウトしかけた時、部屋のドアがノックされた後、バタンと開いた。
誰だ?
「眞柴、大丈夫か?」
聞こえたのは長太郎の声。ドカドカ足音を立ててベッドに近づいてくる。
僕はむっくりと起き上がった。
まさか寮に帰って来た時にはもう熱が下がっていて、フツーに寝ていただけとは言えない。
「寝たら大分良くなったよ」
僕の言葉を疑いもせず、長太郎は屈託のない笑顔を浮かべる。
「食堂のおばちゃんからもらってきた。
ビタミンCいっぱいで、風邪ひいてるときにいいってさ」
と、バッグからタッパーに入ったイチゴを取り出す。
断る理由もないので、イチゴをありがたくいただくことにする。甘い。
長太郎を見ていると、鳥原を思い出した。
鳥原は、長太郎と橘がお似合いだって書いていたけど、僕から見たら鳥原こそがお似合いだと思う。
長太郎と鳥原の仲を何とか取り持てないだろうか。
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