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「あのさ、長太郎」
「あ?」
「あのバッジ、まだ持ってる? ほら、ヤタガラスの」
長太郎はきょとんとした顔をしてから、おお、と頷き、ごそごそとカバンから学院指定の巾着袋を取り出して、その中からバッジを掴み出した。
「誰かに渡すのか? 俺の手作り1点モノだからな。このバッジを手にした者は義兄弟の契を交わしたにも等しいという……」
長太郎が何か語り出したけど、無視することにした。
「鳥原なんだけど、いい?」
「鳥原? なんで鳥原?」
長太郎が顔をしかめる。
「あいつ、何考えてるか分からんし、時々ひとりで不気味に薄ら笑い浮かべてるぞ?
何の話題振っても反応薄いくせに漫画の話題になるとペラペラ喋り出すし、俺とお前で漫画の話するだろ?
そしたらあいつ、ニマニマしながら聞いてるし、それに……」
「鳥原の漫画好きは周知のことだろ。本人はばれてること気付いてないみたいだけど。
それに、お前だってコスプレやってるんだから、おあいこだろ」
「漫画が好きなら堂々としてりゃいいのに、こそこそ隠してるのが気に食わん」
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