10人が本棚に入れています
本棚に追加
東都防衛学院2年2組。
昼休みだからか、教室内にいる生徒の姿はまばらだ。
「せーの」で僕と長太郎は互いの健康診断書を見せ合う。
遠藤長太郎……身長170センチ。
そして僕、眞柴想一……身長168センチ。
長太郎がガッツポーズをし、僕はがっくりとうなだれる。
くそっ、負けた。
1年のときは長太郎の身長は僕より低かった。
それがだんだんと追いついてきて、2年になった今じゃ、この結果。
僕の名誉のために付け加えておくと、僕だって身長は伸びている。
長太郎の伸びる割合が僕より大きかったっていうだけだ。
浮かれる長太郎にイヤミのひとつでも言ってやる。
「視力は僕のほうがいい」
まあ、僕も長太郎も眼鏡をかけてるから、正直なところ、裸眼の視力が良くても『だからなんだ』って話なんだけどさ。
「長太郎、お前さ、髪の毛切ろよ。目に入ったら視力、余計に悪くなるぞ」
僕はそう言って、長太郎の髪を眺めた。
入学した時はスポーツ刈りに近かった長太郎の髪は今や伸び放題でセミロング状態。
前髪が落ちてくるからとヘアバンドで止めている始末だ。毛先ははねてワカメみたいになってしまっている。
「そんなんじゃ、ヒーローっていうより、ダークヒーローだよ」
「ダークヒーロー?」
『ヒーロー』と聞いて、長太郎が反応して身を乗り出してきた。
最初のコメントを投稿しよう!