プロローグ 焔

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「皇帝陛下!!どうか我等をお助けください!!」 「一体どうなってるんだ…三国が攻めてくるなんて……!!」 「巫女様ぁ……グスッ」 街が、城が、燃えている。 剣を携え、弓を引く兵士が数千、数万。 帝国は壊滅状態だった。 人々は逃げ惑い、兵士は必死に民を護る。 だが、圧倒的に不利だ。 その中で、血を流しながらも戦う女が居た。 帝国の巫女・エリザだ。 やっとの思いで降り立ったのも束の間、身を投じていた。 「キャァァァァァァ!!」 突然、ガラ…と大きな音と悲鳴がした。 女性の上に崩れた家が襲いかかる。 「危な……」 叫んだと同時に異様な痛みが体を襲った。 振り返った先の敵の兵士は武器を手放した所だった。 だが構ってなどいられない。 寸手の所で女性は逃げるのを、エリザは見た。 そして、何か重いものがのし掛かるのを感じた。 「ぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!」 苦しみに悲鳴を上げる巫女。 その目の前に蒼い目をした男が映った。 「ハッ!いい気味だなエリザ!! この地は我がクエレブレが戴いたァ!!」 豪快な笑い声と雄叫びが町中に響いた。 「裏切り者……裏切り者ォォォォォァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」 悲痛な叫びは炎に吸い込まれていった。 千年も前の話である。
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