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B「え?それってどういう…」
A「この時間は皆寝てる。この街は静かになる。音も灯りも。日々の喧噪も愚痴も。何もかも止むんだ。」
B「それって珈琲に関係あるの?」
頬杖をつき、眠そうな表情をして聞き流しそうな程度で耳を貸していたBが訊いた。
A「気持ちの問題さ。」
ふっと笑いながらAは続ける。
A「この部屋には僕の心音と豆を挽く音。それだけ。他は何も要らない。それだけで充分なんだ。真夜中の珈琲にはね。」
B「よく分からないけど、君が淹れる珈琲は美味しいよ」
ありがとう、と微笑みながらAは夢見るような眠そうな表情で言った。
A「でも、最近は1つ音が増えたね。」
B「え?」
A「君の心音。」
Bの胸の辺りを指差しながら言う。
B「うるさかった?」
A「いや、とても心地い音だよ。さ、珈琲を入れよう。」
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