黒、白、赤

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彼女の手からペンケースが抜き取られる。 そして、ぐらついた。 彼女は僕の手をつかみ、そのまま立つつもりらしかった。 だから彼女の体重は、僕の手、もといペンケースに預けられるはずだったのだ。 それが突然に失われれば、もちろん彼女は重力にとらわれてしまう。 「あ……!」 そんな声を聞いた。 だからぼくはとっさの行動をとる。 手を握るとか、そんな覚悟をしっかり決めていたから、こんなことが出来たのだと後から思う。 後ろに倒れていく彼女を、ぼくがとびこんで抱きかかえた。
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