黒、白、赤

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骨なんてないんじゃないかと思うほどしなやかな背に、ぼくの左手。 いつか泊まったホテルにあった、絹のカーテンみたいに柔らかで触り心地がいい黒髪に、ぼくの右手。 目と鼻の先に、彼女の幼いけどきれいな顔。 呼吸が止まっていた。 妙に冷静だったぼくは、彼女からの吐息がないこともちゃっかり確認していた。 「……」 たっぷり10秒間は見つめあっていたと思う。 そうしてから、 「……わぁぁああっ!?」 彼女が急に顔をトマトみたいにして叫んだ。
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