黒、白、赤

15/15
前へ
/15ページ
次へ
「ほんとごめん……」 ぼくは普通にすごくあやまっていた。 助けたことに対する罪悪感、なんてふしぎなものが噴出してきて、ぼくは謝るしかなかった。 けど、彼女はこう言ってくれた。 「……まあ、いいよ」 そして、おかしそうに笑った。 「助けようとしてくれたんでしょ?」 「そのとおりではあるけど……ええと」 「いいのいいの、転んだ私が悪いんだから」 そして、ぼくが言葉を返す前に、名前も知らない彼女はこう言った。 満開の笑顔で。 「ありがとう」 中庭に、桜が咲いた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加