きのうの祈り

黒、白、赤

普段は行かない場所に行くとき、必ず決めていることがある。

地図を持たないことだ。

時間に間に合わなくてはならないときは、もちろんそうはしない。

余裕があるときは、ちょっとした探検気分で、適当に散歩する。

高校生になったいまでも、やめられない。

入ってはいけない場所に行っても「迷いまして」で済むし、地図を見て、つまらなそうだ、と感じた場所にも足が運ばれる。

そこでの思わぬ出会い、発見。

ぼくは妙に、そういう巡り合わせが多かった。

友人の高校の文化祭で、人気の
ないほうへ向かったら、告白とかキスとかをちらほら見かけた。

ぼくが見つけなかったら停学に
なっていたカップルはまだ健全に付き合っているだろうか。

べつにそんなものを目撃したくてうろついているわけではない。

断じてない。

と、言いきれない。

「……大学生か」

大人なのか、大人なんだよな、と次の曲がり角に期待してしまう。

否定できない年頃です。