黒、白、赤

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だからといって、そこから離れることもできない。 他のだれかに見せていいものではない、そんな確信があった。 無言の時間が過ぎる。 だんだんと人の声が流れ込んで きて、空気に現実感がなじむ。 ぼくはその女の子との間に、また違った、大きな隔たりができたのを感じた。 もとの場所に、神経が引き戻されていく。 ぼくは彼女がうつむいているのを確認し、その場を去る。 三歩目を、玄関のタイルに当てたときだった。 「待ってっ!」 震えた声が空虚な中庭に響いた。
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