黒、白、赤

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自分の行動に自分であきれている間に、彼女の手は確実にペンケースへ伸びている。 「……」 よし、下げよう。 ちゃんと男らしく手を差し出そうじゃないか。 大丈夫、大丈夫。 ぼくは目をつむって自分をふるいたたせ、ペンケースを引く。 と、狙いすましたようなタイミング。 彼女のがペンケースに触れて、つかもうとしていた。 その重みを、ペンケースづたいに感じた。 しかし、いまさらぼくの運動を切り替えられはしなかった。
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