4988人が本棚に入れています
本棚に追加
/503ページ
AM?:??
雑居ビル屋上
ネコがこのビルから離れる事を確認してからどれくらい経っただろう。
屋上に一人佇む少女は憂いを帯びた瞳で空を眺めていた。
「何がネコよ…。
アタシの方がネコっぽいじゃない」
口にした少女はうっすらと笑みを浮かべる。
さっきの出来事を反芻するように瞳を閉じ、少女は路地側へと歩き始めた。
歩きながら少女はツインテールにした髪を留める為に使われていた二つのビニール紐を解く。
解かれて自由を得た長い金色の髪が風に舞って進行方向とは反対に流れていく。
それはまるで、少女の歩を止めたいように映る。
「ネコはね…」
「死に様を晒さないものよ…」
最初のコメントを投稿しよう!