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「待てよ雪成!一緒に帰ろうぜ!」
雪成と呼ばれた少年は自分の肩に気さくに回された腕の主の方を姿を確認せずに呟いた。
「拓海悪い。今日はお前と遊んでるやる時間はないんだ」
雪成の一瞥もない上に若干上からの物言いに悪意が無い事を分かっている拓海は構わず続けた。
「また道場かぁ?お前、剣道で日本一になっといてまだ強くなりたいのかよ?
そんなんより俺と青春しようぜ〜」
「あぁ、道場だ。今日は道場にOBの人が来て稽古つけてくれるんだと。
日本一になっても上には上がいっぱいいるの。
それに、たまたま組み合わせとか運が良かったんだよ。もう一回大会やったら優勝出来るかなんてわからないだろ?
で、最後に。今は女に興味ないよ」
そっけない早口な雪成の返答に拓海はそれでも笑みで返してみせた。
「ぶっきらぼうなのにこっちの話にはちゃんと応えてくれるお前のその律儀な性格、俺は好きだぜ」
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