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すやすやと寝息をたて眠る香織の手に何かを握らせたネコは香織の寝顔に語りかけた。
「香織、ここで君に出会えた事、もう一度巡り会えた事。
そして、この法律を君が作ってくれた事が、僕は本当に嬉しく思う。
君が目を覚ました時、僕がいない事に気づいた時。
君は悲しんでくれるかな?
君は寂しいと感じてくれるかな?
…そうだといいな」
その独り言は誰に届くわけでもなく、静まりかえった小屋の中に消えていく。
ゆっくりと立ち上がったネコはもう一度香織の寝顔に呟く。
「僕はそろそろ行くよ。
一緒にいてあげたいけど、やる事があるからね」
それだけ言ってネコは香織を起こさぬように音をたてずに扉を開いた。
どこまでも続く真っ暗な草原に足を踏み出したネコは、その暗闇の中に姿を消して行った。
「もうすぐ、2日目が始まる」
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