7人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
クラスの中心にいるあの子は、僕の片想いの人。僕の背は低い、あの子の背は高いけれど。僕は自分に自信がない、あの子のとなりには並べない。そう思うくらいには。
教室の一番後ろ一番端の席は、居心地が良い。一日中寝ていられるし、クラスの騒音も何処か遠くに聞こえるし、友人達も昼休みこそここに溜まるけれど、授業中なんかに起こしてきたりしない。
「山中」
眠いんだよ、誰だよ、起こすなよ。
「山中ってば」
うるさいな、誰、とすこし顔を上げた先には。
「柳…?」
「やっと起きたね。あんたさぁ、いつも寝てるけど、人が起こしに来たときくらいすぐに起きてよね」
「え、…スミマセン」
「まあいいや、ほら、文化祭のアンケートだけとりたかったの。ユウちゃんがあんたのこと怖がって渡せないって言ってたから」
「文化祭?早くない?」
「早くないわよ。夏休みまでには準備しなきゃなんだから。7月までにはなにするかくらい決めなきゃ」
彼女はそう良いながら手書きのアンケート用紙を机においた。白いベストに赤のリボンが目の前にあって、あ、案外胸ないな、とか余計なことを考えていた。
柳が僕の席まで来てくれたことが嬉しくて、なんだかんだで目も冴えてしまった。
「山中さぁ、なんでいつもねてんの?」
最初のコメントを投稿しよう!