せくらべ

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クラスの中心にいるあの子は、僕の片想いの人。僕の背は低い、あの子の背は高いけれど。僕は自分に自信がない、あの子のとなりには並べない。そう思うくらいには。 教室の一番後ろ一番端の席は、居心地が良い。一日中寝ていられるし、クラスの騒音も何処か遠くに聞こえるし、友人達も昼休みこそここに溜まるけれど、授業中なんかに起こしてきたりしない。 「山中」 眠いんだよ、誰だよ、起こすなよ。 「山中ってば」 うるさいな、誰、とすこし顔を上げた先には。 「柳…?」 「やっと起きたね。あんたさぁ、いつも寝てるけど、人が起こしに来たときくらいすぐに起きてよね」 「え、…スミマセン」 「まあいいや、ほら、文化祭のアンケートだけとりたかったの。ユウちゃんがあんたのこと怖がって渡せないって言ってたから」 「文化祭?早くない?」 「早くないわよ。夏休みまでには準備しなきゃなんだから。7月までにはなにするかくらい決めなきゃ」 彼女はそう良いながら手書きのアンケート用紙を机においた。白いベストに赤のリボンが目の前にあって、あ、案外胸ないな、とか余計なことを考えていた。 柳が僕の席まで来てくれたことが嬉しくて、なんだかんだで目も冴えてしまった。 「山中さぁ、なんでいつもねてんの?」  
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