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「言うてまだ高一だしね。俺の身長こっからだよ、こっから」
「はいはい、大きくなるといいね」
柳は、呆れたように笑うと、小さく溜め息をついた。大きな背はコンプレックス、そんな彼女にとって、俺の身長コンプレックスは分からないかもしれない。
「なあ、やなぎぃ」
「ん?」
「お前何センチ」
「167」
「でっか!…じゃあ俺、177目指すわ!」
「は?」
「俺がそんくらいの身長だったら、柳は大きくないだろ」
そう言うと、柳は一瞬面を食らったようにキョトンとして、そしてすぐに顔を綻ばす。俺の好きになった柳の笑顔だ。
柳は目を細くしたまま俺を見つめて、「待ってるよ」と言った。
END
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