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北斗は刹那に近付くと口を開いた
「…此処はお前の世界で『故郷』と呼ばれる世界だ…」
「‥もう‥戻れない‥の?」
「…そうだ、戻る事は無い‥戻れば『命』は消えるぞ?…」
北斗の答えに俺達は一瞬固まってしまった
刹那は顔を強ばらせると毛布を頭から被ってしまった
そして毛布が震えて‥くぐもった泣き声が聞こえてきた
ーなぁ‥他に言い方があったんじゃないか?北斗!ー
ー…此処で嘘を付いても仕方が無いだろ?零?…ー
俺は北斗の返答に対して言葉に詰まると処置室の扉が開いた
現れたのは神輝と水の守護者である‥氷室 琉河(ヒムロ リュウガ)だった
てっきり魔力供給を頼んだ医師が来ると思っていた俺は、水の守護者の登場に驚いてしまった
室内を見渡した琉河は俺に視線を留めると申し訳なそうに話し掛けてきた
「零、急に魔力供給を頼んでしまって済まなかったな」
「いえ、構わないですよ」
琉河の謝罪に俺は特に気にしてない事を伝えると、ホッとした表情になった
ところが瑞穂を見つけた瞬間、琉河は一転して氷の様な表情を浮かべて話し掛けた
「お前も来ていたんだな?瑞穂?」
「居ちゃあいけませんか?『水の守護者』さん!」
琉河の言葉にカチンときたらしく喧嘩腰で応えていた
瑞穂の態度に慌てた俺は話題を変えようと琉河に質問をした
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