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「片思いじゃだめなんだ。難しいねぇ。」のぞみさんがため息をつく。彼女もそんな燃えるような恋愛の経験はなさそうだ、ほっとした。
「片思いでも…全くだめってわけじゃないけど…自己肯定はとても大切なことなのよ。片思いは相手の長所ばかり見がちで、よくわかってないのに陶酔する場合があるし。」
「家族じゃだめなんだよね?」夢子さんの淡々節がまた躍り出た。
「家族は近すぎて、当たり前に思うから…。でも、出来れば異性がいいけど、同性でもいいし…同性愛ってわけじゃなくて…親友とかね。お金とか、仕事とか、背景をとっぱらって、相手の存在そのものを大切だと思える状態。ごめんね、漠然としてるけど、これは具体的にはなんとも言い難いのよね…恋に落ちようとして落ちれるものではないし。でもこの、第一段階がしっかりしていれば、お見合いとかで、初めて会った人でも、存在を愛せる対象に成りえるか、第六感が敏感になって、分かりやすいわけなのよ。」
女性陣が頷く。え?今のでわかったの?ええと…家族と片思いじゃだめで、親友はいい?
「そういう相手とは自然消滅はしないし…」さと子さんがにやりと笑いながら俺を見た。
「例えば、おならが嫌とか、変な癖があるとか、そういう小さなことが嫌で別れるっていう事態には、ならないわけ。結構、最初に付き合った人からもう教えてもらえるラッキーな人もいれば、40代、50代になっても知らない人もいる。見合い結婚で何十年ときて、家族の情や絆が芽生えることもある…それもまたラッキーよね。結婚した相手が、たまたま存在を愛せる対象だったということで。」
さと子さんがふんふん頷いているが…正直、精神論過ぎてよくわからないぞ。
「ま、具体的には、サークルや習い事などなど、人がたくさん集まる場所に、しかも定期的に、出来れば頻繁に行くこと。です。出会う場所を増やしましょう。
付き合う付き合わないじゃないのよ、相手の存在を愛す経験!命短し恋せよ乙女!」
さと子さんの大声にまた赤ちゃんが泣きだした。
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