名古屋の母

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 「というちょっとマジ秘密だった話をしたのにはわけがあって。町田くん、君、最近二宮先生と飲んだでしょ?」  年下のさと子さんになぜか「君」と呼ばれるのはさておき、なぜそんな個人情報を知ってるんだ。  「実は頼まれちゃったの。先生に。町田をなんとかしてやってって。」  「ななななな!なな?なんでさと子さんが二宮先生に?」  さと子さんが俺に名刺を渡す。『恋愛カウンセラー』の文字とともに、愛野さと子の名前があった。  「恋愛カウンセラー?」  「そう、私たちも最近知ったんだけど、さと子って最近かの有名な、名古屋の母なんだって。」  夢子の言葉に、自分の頭の中の辞書を引く。  …名古屋の母。ローカルテレビに確かに出ていたような。本が出てたり、メールで相談にのったりする…。  「嘘?まじで?」  「私たちも今日は赤ちゃんの顔を見るついでといっちゃなんだけど、相談にきたのもあるんだよね。」  のぞみさんの言葉に夢子さんが頷いた。  「ごめんね、町田君はだまし討ちみたいになっちゃって。二宮先生に相談された時この二人もいたから、一緒にってことになったの。私もこの通り、子育てで中々時間を作るのが難しくて。でもだから、私の結構な秘密を正直に話したのよ」  「…じゃ今日は…出産祝いではなく…」  「そうです、恋愛カウンセリング、ワンデーレッスンでーす!」    さと子さんの大声に赤ちゃんが泣きだした。
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