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「えっと。みんなの目標はやっぱ結婚なのよね?」
さと子さんが小さな目を大きく見開いて俺たちを見回した。女性陣は恥ずかしがることもなくうなずく。つられて俺もうなずく。
「夢子とのぞみは、間違いなく結婚できると思うから、そこが目標でなくてもいいと思うんだけど…。」
「ちょっとちょっと!何よそれ?俺はだめなの?」
焦って麦茶を落としそうになった。そりゃイケメンとは言えないけど、普通の顔だぞ。
「女の子は、結婚願望さえあれば、99,9%大丈夫。なぜかといえば、女性の方が男性より、人口が少ないから。日本は一夫多妻制ではないので、当然、対になれない男性が出てきます!」
…なんだ…性別の問題なのか。
「だから恋愛も結婚も、男性が頑張らなきゃいけないの。受け身じゃだめなの。でも女の子も、あんまり受け身でいると、最後の、恋愛ピラミッドの頂点、『結婚を継続する』が出来なくなるわけです。」
「恋愛ピラミッド?恋愛カウンセリング用語っすか?」
…ああついに俺、年下に敬語…。
「うん。私が、恋愛相談をする上で欠かせない図なの。…生態系ピラミッドってあるじゃない?あれみたいに、底辺から始まって、四層になってる。」
さと子さんが出版した本が出てきた。その本の中ほどに、そのピラミッドとやらがあった。
「…な、なんか教科書みたいですね。」
もはや敬語を止められない俺に苦笑しながら、さと子さんが頷く。
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