プロローグ

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 世界は二つに分けられていた。  人間の住む人間界、そして魔物の住む魔界。  その二つの世界にこれと言った境界線は無いが、はっきりと分かれていた。  そこには小難しい理由なんてものはない。  魔物は人を襲い、結果的に殺す。  だから人は死なない為に足掻く、そして魔物を殺す。  それ故に二つの間に共存などという言葉は無かった。  人間は人間だけの秩序を、魔物は魔物だけの秩序を形成していく。  魔術や魔法等というモノもこの世界には存在する。  しかしそれにはさほどの意味は無かった。  何故ならばその二つには奇跡を起こすほどの力が無く、ただの『暴力』でしか無いのである。  命を壊す、奪う、殺すことは出来ても作ることは出来無い。  ましてや生き返らせる事なんて夢のまた夢であった。  あまりにも非情であり、希望のない考え方。  しかし誰一人としてその在り方に疑問を持つこと無く、それを当たり前として保っている世界。
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