プロローグ

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 雪が降り積もっていた。  それは一切の生物が存在する事を許さないような冷たい雪。    そこには一人の男が平然と佇んでいる。  鎧を見に纏った姿。  表情は平然、というよりも無いと言った方が正しいのかも知れない。  彼の足元には大量の”死”が転がっている。  雪の白を掻き消すような赤。  そしてつい先刻、行われたであろう出来事を彷彿とさせるほどに凄惨な骸。  しかし、それも今ではうっすらと雪が積もり始めていた。  男は未だに動かない。  肩や頭に積もっている雪を退けようともしないでいる。  傍から見れば生きている事すらわからない。 「何故……、どうして、こんな事になった……?」  全ては間違いだったのか。
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