女害

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 その花びらの美しさと言ったら……ああ、何と綺麗なんだろうか。  「?」  ――そんな桜並木から、私の目の前へと何かが落ちてきた。  最初、それが何なのか分からなかったのだけれど、ウネウネと動くその姿、身体から何千もの針を生やした様相に、私は確信する。毛虫だ。  「……っ」息を呑まずには要られなかった。気持ち悪い。朝から見て、気分の良いものでない。  その場で柔軟な肉体を動かしていた小さな棒状の生物は、暫くして、私に向かって動き出したように思えて、そして――ナニカの雨が降り出した。  ナニカとは、多分、毛虫で、それはドサドサと土砂降りの豪雨のように桜の木々から降り落ちて来ていて……  「いやぁあああああ!」  気付けば、絶叫と共に走っていた。上からは止むことを知らない毛虫。それを考えると居ても立っても居られなくて、全力で疾走していた。  目からは涙が、桜からは毛虫が……。  やだやだやだやだ。考えるだけで身の毛がよだち、ともすると心臓麻痺を起こしてしまいそうだ。
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