女害

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 まさか朝から要らぬ体力を使う事になるとは……害虫め。世の中から除外されれば良いのに。  ああ、辛い。今から家に返って床(とこ)に入りたいぐらいだ。  ――でもと、げんなりとしながらも私は思うのだ。  晴れて最高学年へと上り詰め、生徒会会長という役職を手に入れた私がこれぐらいの事でへこたれでどうする、と。  「よし!」  校門の前で人並み程度にふくよかな胸を張った私は、キビキビとした姿勢で歩き出す。  「おはようございます」「オッハー」「おはよう」「どうも」「ニーハオ」「チーッス」  それは全て私へと向けられた挨拶。歩けば自然と掛けられるのだ。  全校の生徒並びに教師から、私がいかに価値がある人として見られているかという事を端的に表していると言っても過言ではない。  私は笑顔で会釈、あるいは挨拶を返して玄関を潜る。疲れているとは言え、あらぬ態度を取れる訳がない。  蓋を開け、靴を取り出す。そして教室へと足を進める。  うむ、日常通りだ。私は一人、満足げに頷いた。  @  私という人間は、天才である。それ故に、教師が授業中に私を当てる事など日常茶飯事と言える。  例えば、今教壇に立っている丸々と太った新米の数学担当の教師なんかは、自分の答えに自信が持てない時などに私をよく当てる。いや、よく当ててくれる。
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