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「あそこにおるタローがツッコミなんや、あいつ、顔だけはええから、女子にウケがいいんや」
たしかに、〝イケメン〟という分類に入るのだろう。タローは。
だが、タローの面影が元彼、蔭山にどこか似ていた。彼も軽薄そうな顔の造りをしている。だからか、なおはあまり好きにはなれなかった。
「ねぇねぇ、タローさんって格好良くない!?超、私のタイプなんだけどっ!!」
ミーハーな親友の美緒に、なおは苦笑いをしながら、軽い相槌を打つ。彼にはたいして興味がない。
「ところで、お嬢ちゃんたちは、何しに来たん?」
柊さんの言葉に率先して答えたのはなお。美緒はなんだか、ニヤニヤしながら見ている。
「あ、あの!ここのソフトクリーム屋さんがメチャクチャ美味しいっていう噂を聞いて!」
納得したように手を叩き、タローさんのほうに身体を向け、彼に叫んだ。
「うおおーい!ここにも客、おるみたいやぞ!!はよ、こっちにもアイス配らんか!」
柊さんの大声は確かにすこしうるさかった。だが、方言混じりのどこか暖かい父親を思わせるような口調になおは何故か不思議な安心感を覚えていた。
しばらく、経つとどこからか、最近流行ったアイドル歌手が歌っている歌が着メロで流れてきた。なおたちは着信音は設定していないので違う。となると、目の前のこの人の携帯の着信音だったのだ。
「もしもし?あぁ、え?仕方ないやろう、こんな可愛い娘、置いてそっちに行けるわけ……あ、いや、そんなつもりは……!ば、バカ言うな、もう、俺は……!と、とにかく、早く来い!せやないと、コンビ解消するで!分かったな?!」
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