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数時間後、シャワーから出たときに、なおは柊の着信に気付いた。
留守電が入っていたので聞いてみると柊が彼女に振られたということ。
なんで、そんなことを自分に言うのか……?
(まさか、私のこと……?!)
自意識過剰なことを思うも恥ずかしくなり慌てて首を振る。
それ以前にもしかしたら、なおにだけじゃないのかもしれない。
きっと、美緒やあのタローさんにも言っているはず……
いや、でも、最後のは……?
なおが必死に悩んでいると、スマホが震える。
また、電話が来たらしい。
慌てて出ると、どこかよそよそしさを感じさせる蔭山の声だった。
「お、おはよう。なお」
いまさら、なに?
そんな言葉を押し隠し、なおも明るくおはよう、と返す。
「あのよ、今日、お前にちょっと紹介したいやつがいるんだよ」
なおは、努めて明るい声で聞く。
だれ? と。
彼は緊張が解け、よそよそしさがなくなった。
「文学部の塚田ってやつ。 知ってる?」
なおは知らなかったので、知らない、と答えるとなぜか、卓也はホッとしたように息を吐いてから。
「おぅ、じゃあ、丁度いいや。昼休みにさ、屋上来いよ、鍵開けて待ってるから」
そう言って、彼は一方的に電話を切った。
なおは、首をかしげながらスマホを机の上に置き、壁にかかっている時計を見た。
07:45
まだ、時間的には余裕がある。
もう一眠りするには時間がないので、テレビをつける。
朝のニュースが流れていたが、あまり興味をそそるようなものはなく、だが、消すのも何か淋しい気がして、流していた。
ぼーっとしていると、また、スマホから着信音が。
卓くんかな?
そう思いながら電話の相手を見ると、そこには柊の名前が……。
「も、もしもし? 」
一呼吸おいて電話に出たはずなのになぜか声が震える。柊は昨夜のテンションの低さとは裏腹に明るい声で言う。
「おはよう、なおちゃん。昨日はごめんな。変な時間に電話してしもうて」
留守電メッセージに入っていた言葉を思い出し、なおは言葉につまるが柊のほうはお構いなしに続ける。
「なんかな、なおちゃんに慰めてもらおうと思ってな、なおちゃん、声明るいし、慰め方うまそうやし」
聞き方によっては、軽く聞こえそうなのだが本人にはそれほど下心はないらしく爽やかささえ感じられた。
「そうですか? そう言ってくれるとなんだかうれしいですね」
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