序章

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ケーキを食べ終わり、次はどうしようかという話になる。美緒は、最近出来た大型デパートに行きたいと言い出した。なおも気になっていたので、うなずく。 「あそこの屋上に、すごく美味しいソフトクリーム屋さんあるって言うし、帰りに寄って行かない?」 まだ、食べるのかと思うが、女子の別腹を侮ってはならない。 「行く!バニラ食べたいなぁ」 なおは、そう笑う。失恋の痛みを忘れたわけではないが、食べ物の話になるとつい笑顔になる。 デパートに行く道すがら、二人で明日の講義の話をしたりした。 やはり、美緒は親友だ。なおの気持ちを解って行動してくれる。 失恋したら、ついつい自棄食いしちゃいそうになるが、誰かと一緒なら少し押さえることができる。 なおたちはデパートに入る。春の暖かい陽気から、人の熱気がムンと伝わった。 「すごいねぇ、チラシの効果、抜群みたい」 美緒は、そう言いながらデパートの中を歩き始める。 服やアクセサリー、玩具屋さんや、雑貨屋さんもある。二人は、目を輝かせながら店内を回った。 「なおー、このブレス、可愛くない?オソロで買おうよー」 どこぞの女子高生のような雰囲気で美緒がはしゃぐ。なおは、どれ?というふうに見たときにそのブレスに一目惚れした。 銀色のフォルムに、側面には黄色い小さな星が等間隔に描かれている。 値段は何と、八百円。 「うん、可愛い!オソロで買おう!」 なおは、美緒の腕をつかんで笑顔で言った。
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