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そして気づく。
十二個すべての満月から優しい光が降り注ぎ、少年を柔らかく包み込んだ。
その光が少年の肉体を見る間に治癒、回復させていく。
それは信じられない光景。
魔王の力の一部を【創造】できる自分ですら不可能なこと――
「やっぱり彼は神様に……魔王に愛されている?」
だとすれば、この少年を殺せる者はいない。
いくら瀕死の重症であっても、今のように【世界】が彼を助けてくれる。
「クスクス……
面白いですね。彼こそが私たちの【主人】……そして最高の王騎士になれる存在。
みなさんも、よろしいですか?」
彼女は家族に声を投げかける。
「彼を――イザナ=フレイズを、私たちの【マスター】にします」
その言葉に異論を唱える者はいなかった。
彼女は少年の頬に唇を落とすと立ち上がる。
「彼が目を覚ます前に魔物を――魔王に近き連中を殲滅しますわよ」
金髪の彼女の言葉に頷き、家族たちはバケモノの中に月が突っ込んだ――
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