第一章、忘却の紋章

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第一章、忘却の紋章

☆ 忘却の紋章……紋章の王国の王族にとって秘紋章であるこれで分かっていることは力を使う際、リスクがある。 たとえば記憶だ。 この紋章を使えば大事な記憶を失うことになる。 記憶は人間にとって大事なこと。 記憶がなければ自分として成立しない。 世界最強の紋章――紋章の王国の女王の証だ。 しかしいくら最強といっても使えなければ意味はない。 天を裂き、地を砕き、海を割る。 それは魔術の中でも最強の力の一つだ。 リスクを考えないようにして使えば、たとえ魔族程度が生み出した人形くらいあっさりと手にかけることができる。 生身の手であっても。 ☆ いきなり伸びた【手】がバターにナイフをさしこむようにあっさりと【球体】を貫いていた。 ずぶり、と嫌な音をさせて。 白い【手】が【球体】を突き抜けている。 「「…………」」 そのあり得ない光景をリクト=スティグマとイザナ=フレイズは言葉もなく見上げていた。 流石の白狐も驚き、目を見開いている。 「アルマ?え?なんだ?」
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