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「イザナ。状況は!?なぜアルマから膨大な魔力が!?」
「力を使っているからですよ。瞳の中の紋章を」
「まさか【忘却の紋章】か!?」
リクト叫んだ。
忘却の紋章……幸せな記憶を媒体にし、天地を変えるほどの力を持つ紋章である。
それが紋章の王国の女王になるための証。
「あれが発現しているだと!?アルマは大丈夫なのか!?」
「大丈夫――なわけないでしょう。このままだと自我が崩壊しますよ」
「だったらどうすれば」
「答えはこうですよ」
言ったイザナの姿が消える。
一瞬で空間を渡り、アルマの後ろに出現した。
【金髪】を揺らしてアルマが振り返るよりはやく――
イザナの両手に爆発的に集まった風の渦がアルマを飲み込み、包み込む。
そして風の渦は檻に変化し、アルマを囲んだ。
「これに閉じ込めて正気になるのを待つのか?」
「いや、このまま――」
イザナはぱちん、と指を鳴らした。
――瞬間。
「――ブレイク――」
檻の中で荒れ狂う風。
檻の中では小さな嵐が吹き、アルマを雷が襲う。
「アルマ!?」
リクトは悲鳴をあげる。
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