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「イザナ!貴様は……!?」
「リクト様。少しは落ち着いてくださいよ」
「落ち着けるわけないだろう!アルマがアルマが!俺のかわいいアルマが!?」
「…………」
親バカぶりを発揮して声をあげるリクトは紋章の王国の女王代理ではなく娘を心配する普通の父親だ。
「僕も十分手加減しましたし、かりにもアルマは【あれ】の所有者ですよ? これ程度では傷つかない」
イザナは唇を引き締める。
「アーシャ。【忘却の紋章】ってどんな力があると思う?」
イザナは白狐に声をかけた。
「私にも分かりませんわ。あれは天地を変えるほどの力ですし、あれのことを通称、どう呼ばれるか知っていますか?」
「いや」
「【神殺しの紋章】。肉体は滅びても魂がある限り決して滅びることもない、それが神です。
【忘却の紋章】は神々がはじめて人間に与えた紋章……魔術の一つでありながら、魔術を超える力ですわ。
神々は何のためにそれを授けたと思いますか?」
「自分の敵対者――つまり魔王を殺すための【武器】として」
「不正解ですわ」
イザナの言葉を否定するアーシャ。
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