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「ここは……」
辺り一面真っ赤な彼岸花が咲き乱れている。
その先を見ると、ゆったりとした流れの大きい川がある。
その川のほとりに白い服の老女がいる。
近くに小さな船が停泊しているところから考えて船頭なのだろう。
俺はそう考えて、老女のところまで歩いた。
「すみません、これはあなたの船ですか?」
「ああ、そうじゃよ。向こう岸まで行きたいのか?」
見た目を裏切らないしゃがれた声で俺に質問をした。
「はい」
そう答えると、老女はこちらに手のひらを差し出した。
「船賃、6文じゃ」
「すみません、持ってないです」
すると老女は鬼のような形相でこう言った。
「一文無しは帰れ!」
気づいたときには飛び降りたビルの屋上できれいに足を揃えて立っていた。
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