黄昏の幻

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それでも、怪しむ目を向ける少女に、男はふと笑った。 「それに、まあ、良かったじゃない。」 「な、にが?」 「帰りたくなかったんだろう?」 「え……。」 少女は慌てて辺りを見渡した。 沢山の蛍が飛び交う池。 ここが何処だと聞いたのは彼女だ。 「うそ。」 少女は再び池を這い上がり、コンクリートの道を手で触って確認した。 「そ、そうよ。そんなことあるわけ無いよ。」 明かりは点いてないが、街灯だって立っている。 彼女は違和感に気づいた。 家の明かりさえ点いていない。 「停電かなっ?」
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