8人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、怪しむ目を向ける少女に、男はふと笑った。
「それに、まあ、良かったじゃない。」
「な、にが?」
「帰りたくなかったんだろう?」
「え……。」
少女は慌てて辺りを見渡した。
沢山の蛍が飛び交う池。
ここが何処だと聞いたのは彼女だ。
「うそ。」
少女は再び池を這い上がり、コンクリートの道を手で触って確認した。
「そ、そうよ。そんなことあるわけ無いよ。」
明かりは点いてないが、街灯だって立っている。
彼女は違和感に気づいた。
家の明かりさえ点いていない。
「停電かなっ?」
最初のコメントを投稿しよう!