黒猫

10/30
4253人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
時は流れて週末。マスターに会いに行く日だ。 「おー、カイトたち。こっちこっち。」 お馴染みの姿でこちらにやって来る3人に手を振り、みんなでギルドに入る。 「お姉さん、マスターに話は通してあるから、ちょっとマスター借りますね。」 「あら、暗夜君。その子達が良い感じのお友達ね?………うん。いいわよ。マスターも良い返事が出来そう。」 「ありがとうございます。」 受付のお姉さんは、3人を見つめると笑顔を浮かべた。さらに、マスターにも褒められそうだと言ってくれた。俺だって、マスターに褒められるのは嬉しい。なんてったって親代わりなんだから。 マスターの部屋のドアをノックしてから開ける。 「マスター、連れてきた。」 「あぁ。暗夜、久しぶり。そちらの子達は初めてかな?よろしく。このギルドのマスターをやらせてもらってるんだ。」 マスターはすでに人数分のコーヒーをいれていた様で、ちょうど飲み頃で出してくれた。 「あ、ありがとうございます!」 あのカイトが緊張している。なかなかない光景が見れたな。 「さて、君たちの事は暗夜から聞いてるよ。これ、その依頼だよ。1人一体倒したらランクをAに上げれる。頑張ってね。」 そう言ってマスターが取り出した紙には、"シルバーウルフ3匹の討伐"と書いてあった。 「なかなか厳しそうだな。」 「…連携が厄介だけど、やらなくちゃ始まらない。」 「だな!じゃあマスター、俺達は今からこれをやりに行ってきます!」 「いってらっしゃい。あ、暗夜は残ってください。」 「わかった。じゃあ、頑張れよ。」 マスターと2人で部屋に残り、カイト達を見送った。 「…暗夜、依頼だ。今度は、最近重税をかけ始めたエイスという所の領主を調べろ。結果次第では、その続きもしてもらう事になる。」 「…わかった。調査の方は一週間で終わる。…最近、なぜか急に税を上げだす領地が増えてる。そっちの方も含めて調査をするから、報告までに時間がかかるかもしれない。」 「…よし。それなら猶予は2週間だ。それ以上は遅れられない。」 緊迫した空気が部屋に流れるが、それはほんの一瞬だけ。それからすぐにマスターと俺はコーヒー談義を始め、オススメの本を教えあったりしながら3人を待った。
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!