第二話 『旅の準備』

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「あ、早く城から出ないとムッシュ来ちゃうじゃん!」 僕は急いで二十三階相当の城の窓から飛び降りた。 景色が綺麗だな、なんて眺めついると真下には、ムッシュが両手を広げ笑顔でまっている。 もちろん僕は体制を変えて勢いをつけたまま、ムッシュを地面へと蹴り飛ばした。 ムッシュは地面に頭が埋まり力無く倒れているが、元気そうである。 「それじゃあ、僕は行くからね」 僕は何も無い空間に手を向けると、人が通れる大きさの円状の黒い穴が現れた。 ふと、背後に気配を感じ、振り返ろうとした瞬間抱きしめられた。 「仕事ですけど楽しんできて下さい。いってらっしゃい、エクレア」 「うん、ありがとうムッシュ。今度こそ行ってきます!」 僕は振り返らず穴の中に入った、だって泣いてたんだもん。最後の別れみたいに……。 穴が閉まる前僕の名前を全力で呼ぶムッシュの声と、何人かで止めようとする人の声が聞こえたけど……迷惑かけちゃ駄目だよ、ムッシュ……。
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