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「ふーん、お話の魔王様は倒されちゃったのか。でも、僕が魔王なのは変わらない事実だよ!」
僕は楽しそうに語るものだから、信じないのかな?誰かを殺したらただの殺人だし、何か分かるいい方法はないかな?
シェリーが何か思いついたように表情を弾ませ、僕に向かって指を指してきた。
「魔物を統べる王様なら、魔物を使役できるでしょ!できたら魔王って認めてあげるわ」
他の三人も賛同し僕は『始まりの森』と呼ばれる、人類が始めて立ち入ったとされる森に入った。
魔物も比較的少なく安全な森である。
人の手が入っているので木も大きく育ち、動物も生き生きしている。
三十分後にウサワタと呼ばれる魔物に出会った。
見た目は丸くフワフワとした毛玉で、長い耳が特徴で手足も短いがあり牙もある。色は真っ白や黒い色など様々だが皆目は赤い。
「ウサワタにいうことを聞かせればいいの?」
「そうよ、魔王っていうんならウサワタくらい簡単でしょ?」
「見てみたいな、ウサワタがお手するところ……」
「俺も見たいな、魔物が相手なんだし気になるだろ!」
「俺はどうでもいいなぁ、帰ってシャワー浴びたい。汚いまま寝てたとか、ショックだ……」
ナイトは僕達を気にせず、幹の傍で何か呟きながら座っている、目はどこか遠いところを見ているようだ。
「うーし、ウサワタ君!お手しなさい、お手!」
皆緊張しながら見つめているが、ウサワタは瞬きをして欠伸をした。
「やらないじゃない!」
「楽しみだったのに……」
「やっばり、嘘かよ」
「シャワー、シャワーに行かないと!」
皆それぞれ残念な気持ちを口に出すと帰るというように来た道へと向かう。
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