第九話 『職業斡旋所』

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人込みに流れを任せていると人の出入りが頻繁な建物が一つあった。 「気になるし、行ってみようかな。」 人にぶつかるのも気にせず、その気になる建物の前に来た。 赤煉瓦の五階建ての建物は周りの建物よりも抜きん出て大きく、看板が金縁の白い板に黒で建物の名前が書かれている。 「職業斡旋所『片翼の天使』か……、入ってみよう!」 建物の中は白い壁に灰色の床、休憩スペースや売買所があり、筋肉質な者やローブを身に纏う者達が行き交っている。 何か無いか入り口で様子を伺っていると、ナイト達を見つけた、午後二時ってまだ学園じゃないの?日曜日だから休みかな? 声をかけようとしたら、仲間との会話で僕に気づかず汗臭い筋肉質の男がぶつかってきた、少しバランスを崩したがすぐ立て直す。 謝りもせずにそのまま行こうとするもんだから、僕怒ったもんね! 「おい、そこの茶髪モヒカン頭の汗臭い男!こっちを向けよ、ぶつかってきたよね!」 僕の声に反応した男が厳つい顔に似合わないつぶらな瞳で僕を睨みつけ、高い音域で話し始めた。 「何言ってんだ、てめぇはよう。てめぇが先にぶつかってきたんだろうが、あぁん?」 ブフッ、僕としたことがギャップで吹いてしまった、いけないいけない僕の威厳がなくなっちゃう。 「い、いや、ブフッ絶対にそっちがぶつかってきたよ。話に夢中で気づいてなかったみたいだけど、謝る気があるならそれ相応の謝り方してよね。土下座だよ、ド・ゲ・ザ!!」 「ふざけんじゃねぇよ、何でてめぇなんかに土下座しなきゃいけないんだ!てめぇが俺様にしやが……」 モヒカンが言い終わる前にちょっとイラッときたから、重力で頭から地面に突っ込むように土下座させた。 「君の誠意は伝わったよ、よかったね。僕は優しいからこれで許すよ」 モヒカンが白め剥いてたけどもう関係ないからいいね、ナイト達の方に行こうっと! 僕がナイト達の方に行くと皆で露骨に嫌な顔をされたけど、気にしちゃいられない。 どうしてここにいるのかも知りたいし、何するのか知りたい!
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