第十話 『魔王の戯れ』

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「なぁ、もうそろそろ止めてやったらどうだ?こっちは特に何も被害受けたわけじゃないんだからさ」 「可哀想……」 「許してくれって言ってるんだし、もういいだろ」 「こんなところで時間かかったら、ゴリウサの討伐できなくなっちゃうじゃない。もう止めましょう!」 えー、何で僕が悪いみたいになってんの?皆助けて上げたんだよ?理解してないみたいだけど、さっきの状態なら四人狩られてたんだよ! 助けたのに、助けたのに、助けたのに! 「僕は助けた側なのに、なんで僕が悪いみたいな言い方なの?」 僕は驚くほど低く冷たい声だったと思うけど、冷静ではいられないや、なんでだろ…。 僕が怒ってるのに皆気がついたみたいだけど、なんで怒ったのかは理解してないみたい、僕悪くないのになぁ。 「分かったよ。止めてあげる。マスターゴリウサを解放したら何があっても自分たちで対処しなよ」 「倒してくれるんじゃないのかよ!?」 ライはまったく…、自分の立場が分からない奴は本当に嫌いだナー…。 「ふざけてるの?ふざけてるからそんなこと言えるんだよね!自分たちが今危ない状況なのも理解しないくせに、僕に意見して無理だから任せるの?僕なら絶対にそんな奴助けないけどね」 僕はゴリウサを拘束している魔術を解き、腕を組み四人を傍観する。 『小童共よくも、ワシに恥をかかせてくれたな!』 マスターゴリウサは二本の鉈を素早く拾い上げ、近くに居たナイトに右手に持った鉈を振り下ろした。 僕は助ける気なんかもう無いよ、自分勝手で死ぬんだし自業自得だよね。 僕がこの場から去ろうとしたとき、僕の異空間から突然雷が飛び出し、マスターゴリウサを撃ち抜いた。 「私の可愛い生徒に、手を出さないで下さい」 異空間を突き破り出てきたのは学園長だったのか、まったくいいところで持ってくんだなぁ。 マスターゴリウサは膝から崩れるように倒れ、手から離れた鉈が地面へ落ち土煙を上げた。 学園長がマスターゴリウサの最後を険しい表情で見届けると、笑顔でナイト達の方を向いた。
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