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今日は結くんの大学の講義が午前中で終わりだから、午後から会う約束をしていた。
待ち合わせの時間よりちょっと早めに来て、指定された大学前の門のところで待つ。
しかし……当たり前だけどデカい。うちの高校も割とデカいほうだけど、やっぱり大学は規模が違うな。
毎日結くんはここで先生になるための勉強してるんだもんなー。
一生懸命勉強している結くんを妄想したら可愛いすぎてニヤけそうになった。
「知里」
「あ、結くんっ!」
俺はまるで帰ってきた主人を迎えに行くように、しっぽを振りながら数メートル先にいた結くんの元へと走っていった。
「ごめん、待たせたよな。時間に間に合うように店出たつもりだったんだけど」
「大丈夫。俺が勝手に早く来ただけだから」
結くん結くんっ。
会っただけでテンションあがりすぎだろ俺。
「わお、お話通りの超美形。まじ美少年だね」
結くんしか見えていなかった視界に、ぬっと突然人影が現れた。
黒縁の大きめレンズのメガネに、うにゃうにゃとパーマがかった少し長めの黒髪、そして長身。
美容院に必ずひとりはいるだろと言いたくなる風貌のお兄さんが、目をキラキラさせながら俺の顔を見ていた。
「おいコラ、陽翔。お前タバコくさいんだから近寄るな。知里にニオイがうつんだろーが」
結くんはムッとしながらその人のお尻に蹴りを入れていた。
「知里。これ、友達の陽翔。その……なんていうか……俺たちのこと……知ってるから」
俺たちのこと……?
あ、付き合ってるってことか。
そうなんだ。
やばい、結構うれしい。
俺たちみたいなのって言っても絶対引かれるだけだと思ってたから、結くんに友達紹介されるとか、すごい感動。
「陽翔です。いつもツンデレ結がお世話になってます!」
「ツンデレじゃねえよ!」
陽翔くん……結くんのことよく分かってるなあ……。
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