君と僕と紫陽花と

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あれから、数週間後。 「いや~、完っ全に夏だなー。梅雨の頃が懐かしくなるくらいいい天気」 いつもの大学近くのカフェでタバコをふかしながら陽翔が感慨深く目を細めた。 「そーですねー」 少し前に梅雨明けしたと思ったら今度は毎日うだるような暑さが続く。 これはこれで結構鬱陶しい……。 「こう天気がいいと、タバコもうまいわ」 フーッといつものようにタバコの煙を俺の顔に吐き出す陽翔。 「やめろ。服にニオイが染み付く」 それを鬱陶しいと言った顔をしながら手で払う俺。 「あら?なになに、突然。この香り好きじゃなかったっけ、お前」 「好きだけど……色々めんどくさいんだよ。ニオイに敏感なヤツがいるから……」 くっついてきては鼻をヒクヒクさせて、 「結くんタバコくさい。やだ。今すぐ服脱いで。シャワー浴びて。俺と同じニオイじゃなきゃ、やっ!」 とか言う、めんどくさい大型犬がいるもので……。 「ああ~、ちーちゃんね」 「慣れ慣れしく呼ぶなよ」 お前は知里の友達か。 「いい加減もったいぶってないで早く紹介してよ~」 「ムリ。絶対ムリ。一生ムリ」 陽翔には色々相談に乗ってもらったし、報告待ってるって言われたから、知里と付き合うことになったことを伝えていた。 それからずーっと「早く生知里見せろ」とか「知里連れてきてよ」とか、とにかく知里に会わせろアピールがすごい。 そら俺だって紹介してやりたいけど、陽翔は俺をノンケだと思ってるから紹介しづらいんだよな……。 他の男はムリだけど知里は平気、とか言っても絶対分かってもらえねーだろーし。 俺は男じゃなくて知里が好きなんだけど……そういう想いってなかなか伝わりにくいんだよなぁ。
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