紫陽花の咲く頃に

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高校で3週間の実習。 実際に自分が教壇に立つなんて正直想像がつかない。 けど、想像しなきゃいけない。 どうやって授業進めるとか、どうやって内容を説明するとか、考えなくちゃいけないことは山積みで、おまけに実習が始まったら実習日誌というクソめんどくさいものもあるわけで……。 実習を楽しみにしてる学生がいるならぜひお目にかかりたい。 俺がすっかりうっかり忘れてしまっていたのは緊張感がないからではなく、単純に、嫌すぎて現実逃避をしていたせいだと思う。 「高校か~。いいな~。俺なんて中学だからな」 「いいじゃん、中学」 「どこがだよ。中学生がいちばん扱いにくいんだぞ?まだまだガキのクセに大人ぶりたがって反抗してさ……めんどくせぇ」 陽翔は眉間にシワを寄せ、目を細めるとタバコを灰皿に押し付けた。 「その点、高校生にもなると逆にイキってんのがダサいみたいになってあんま反抗しなくなるだろ。まあ、服装とか髪型とか反抗しまくりだけど、中学生に比べたらずっと扱いやすい」 「そうかぁ~?どっちもどっちだろ。俺はまだ中学の方が良かったよ……高校かあ~」 「お前確実になめられそうだもんな。可愛い~とか言われて。つか、転入生に間違えられんじゃね?」 「うるせーよ!」
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