プロローグ 始まりを告げる号砲

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 草木眠る丑三つ時。もともと住人が少ないこの地域はさらに静まり返っていた。風の音だけが妙に冴えわたる。遠くに光が見えている。  そんな閑散とした場所に似つかわず汗も拭かずただひたすらに走っている青年がいた。青年は時折後ろを振り返っている。なにかから逃げているのだろうか。どこを目指しているのだろうか。  その時、プシュッという音が風に混じりかすかに響き青年の逃げる足を止めさせる。地面にうずくまる青年。遠くに見えていた光は少し大きくなっていた。それだけ青年が走ったということだろうか。風に揺れる木の葉が開幕を喜ぶ拍手のように鳴っている。
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